<NYで音楽>NYフィルのオープンリハ詳細レポート 本番で演奏されることのなかったラフマニノフのピアノ協奏曲を聴く COVID19の影響も...
NYフィル(New York Philharmonic)の演奏会には何度か足を運んでいるが、オープンリハーサル(open rehearsal)といって、本番前のリハーサルを公開しているのにもずっと興味があったが、ついに行った。
本番さながらの演奏、曲によっては、通しで聴けてとってもお得感もあり、本番では見れない指揮者の手直しがどんな感じか雰囲気が感じられたり、とても良かった。
ニューヨーク旅行で、気軽に安い値段でオーケストラの演奏が聞きたいというなら、そして夜のコンサートは無理だけど午前中が空いていてちょうど日が合うなら、選択肢の一つとしてありかもしれない。
2020年現在は、月に2回ほど、木曜日の午前中に行っている。ny philharmonic open rehearsalなどと検索したら、公式サイトのオープンリハーサルのページが出ると思うので、そこで行きたい回を選んでチケットを買う。価格は$22+fee3で$25だった。
今回の演目は、ロシア作曲家特集みたいで、
ロディオン・シチェドリン/管弦楽のための協奏曲1番お茶目なチャストゥーシュカ
ラフマニノフ/ピアノ協奏曲3番
ストランヴィンスキー/ペトリューシュカ (1911版)
(Rodion Shchedrin/ Concerto for Orchestra No. 1, Naughty Limericks
Rachmaninoff/ piano concerto No.3
Stravinsky/ Petrushka)
ラフマニノフのピアノ協奏曲目当てに行ったが、結果どれも素晴らしかった。リハーサル、だけれどほとんど演奏会本番のようなもの。とにかく、ピアノが素晴らしかった。
オープンリハーサルとは、どんな感じだったか記録したい。
時間は、9:45からとあったのでその時間には席に座ったが、ステージ上の団員はまばらで徐々に増えて、実際のリハーサルの開始は10時だった。そして、12:30終了。注意書きには、リハーサルは最大30分延長のことがあるとあったが、今日は時間できっちり区切っており、ピアノ協奏曲の途中で時間が来て終了。さーっと団員達は去っていった。
席だが、席指定なしなので自分でその場で空いている席を選ぶ。
そして、最初は、前半分の席は、係員が制止していて、おそらくmember ship、会員など優先権のあるチケットの人しか入れなくなっていた。
9時55分位になると、前の方の席も全員に対して解放されて、移動する人もいた。私も前の左方に移動した。前10列は関係者席のようだったので、座れる席の中で、前から4番目ほど、なのでだいたいだが14列目くらいだったかと思う。そして、11:30頃に中休みがあったので、その時間にまた席を移動して、最後だったピアノ協奏曲は前の方の中央の席から聴くことにした。
ちなみに、これで分かったのが、ピアノ協奏曲なら個人的にはステージに向かって前めの左側の方が良かったかもと思った。中央にピアノが置かれ蓋がオープンにされるので、指揮者が隠れて見えづらくなり、ピアノ奏者の顔と手首は見えるが、超絶に走り回る指はちょうど見えない、見たいのに見えないという位置。音響はバランスがいいと思うが。
観客の人たちも、なんだかリラックスしていた。平日午前だからか、働き盛りの若い人は少なく年配の方が多い感じはした。隣に座ったおばあちゃんと、ハンドサニタイザーの匂いをきっかけにちょっと話したり(そのおばあちゃんもずっと使ってなかったのを引っ張りだして使ってるのよ、私も、とか、それいい匂いねとスモールトーク)、席を移動したら、隣の女性が変更になったピアニストの名前を教えてくれて、彼は24歳だなんて若いですね、若いって、何言ってるのよ、あなたと同じくらいなんじゃない!学生なの?(こんな時間に、薄化粧でぼさぼさ頭で来てるから若めの学生かと思われたのか、冗談か、アジア人は若く見られがちだから本気かも?たしかにある意味歳をとった学生ではあるけど..)と、彼女は、コーラスに入っているのだと、少し会話したり、ほっこりした。
リハーサルの様子
本番の黒くプロフェッショナルな緊張感とは違い、団員は私服なので見た目だけはカラフルでラフな雰囲気だ。だが、リハーサルはもちろんプロフェッショナルだった。
最初にアナウンスがあり、これはworking rehearsalだから静かに聴いてね、という注意とともに、今回のピアノ協奏曲のソリストとして予定していたロシアのピアニストDenos Matsuevが、アメリカに来られなくなったので代わりにGiorge Liが弾くということを言っていた。3/12のオープンリハーサル、そして12〜14のコンサートの予定だったから、ちょうど今週にニューヨークが新型コロナウイルスの関係で非常事態宣言を出されたし、コロナの関係だろう。
Giorgi Li は1995年生まれ、24歳でとても若く驚いた。
指揮者はValery Gergiev。
曲目リハーサルの順番は、プログラムと異なる場合があると書かれていたように、ストランヴィンスキー、ロディオン、ラフマニノフの順だった。そして、タイムキーパーのような女性がおり、曲ごとに時間配分があるようだった。
ストランヴィンスキーは、普通に一回、全てを通してから、1箇所ほど、10分ほどかけて指揮者が細かな指示を出して手直ししていた。なので本番通り。それと、コンサートマスターが、通し演奏中に、後ろの1stバイオリンの人に何か指示を伝言して、そこから後ろへ伝えていくという場面が何回かあって、ほほぅ!と思った。プロもこうしてるのね。他のバイオリンでは見られなかったけど1stバイオリンはそういう風土なのかな。
そして、通しで聴けたのも良かったし、すごい迫力でいい演奏だった。
次のロディオンは、10分くらいの曲なので、短く区切りながら細かな部分を何度も合わせたり指揮者が指示していた。通していたかは分からない。初めて聴く曲だったが、パーカッションの刻みのリズムが絶えず流れる感じの、ポップな可愛いイメージの曲だった。
そして、インターミッションをはさんでラフマニノフ。最初から流していく。ピアニストのGiorgeが巧みで正確で、強いところの溢れるパワー、きれいなところはきれいで、とにかく素晴らしかった。若さを感じるパワーと、若さを感じさせない巧みさ。隣の女性は、1楽章の長いカデンツァの後で涙していたようだ。こちらももらい泣きもしそうになった。リハーサルの時間が終わり、演奏の途中で突然に終了すると、大きな拍手と、ソリストへのブラボー。
最後まで聴きたかったな〜
今日のはじめてのオープンリハーサルは、満足だった。また気になるプログラムがあれば行ってみよう。
今回の演目3/12〜14のコンサートで弾かれます
<追加3/13>
新型コロナウイルス の影響を受けて、ブロードウェイの公演、オペラ座、カーネギーホール、野球、NBAなどの休止がこの日に発表された。そして、nyphilのホームページに行くと、12〜14に予定していた、このnyphilの本番のコンサートも中止に....ny philharmonicも3/31までの全てのコンサートイベントを中止にすることにしたらしい。
私も土日に実は本番を聴きにいきたいと思っていたのが、このリハーサルを聴いたのが今月のnyphilを聴く最後となってしまった。若きピアニストのGiorge Liのラフマニノフ3番の演奏を最後まで聴ける事が今回は無くなってしまった。残念だ。
今週は新型コロナウイルスに関してアメリカで非常事態宣言が出たり、激動で、私の行っている学校の授業は全てオンラインになり、定期的に通っているピラティスやヨガも無期限キャンセル、さまざまなイベントのキャンセルが相次ぎ、その度にやるせない気持ちになった。仕方がない。でも心の健康も保つべく、ポジティブに、できる範囲で楽しんでいこう。